今回はボクシングのミット打ちについて解説していきます。
ミット打ちを行うメリットや意識すべきポイント、ミットを持つ側の持ち方についてもお話していきますのでぜひ最後までご覧ください。
ミット打ちってどんな練習?
ボクシングジムに行ったことが無い方はミット打ちがどんな練習なのか想像しずらいかもしれません。
ミット打ちとはトレーナーと2人1組になり、トレーナーが持つミット(画像参照)に向かってパンチやキックを打つトレーニングメニューです。
トレーナーの「ジャブ!ストレート!ワンツー!」といった掛け声に合わせてパンチを繰り出します。
プロボクサーの練習風景の映像などでもよく使われていますね。
ボクシングの練習というと「毎日のようにスパーリングなど試合形式の実戦練習、つまり殴り合いをしている」イメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
ですが実際はそうでもありません。
毎日のように殴り合っていると脳にダメージが残ってしまうためです。
そのため鏡の前で行うシャドーボクシング、サンドバッグ打ち、そして今回紹介するミット打ちがメインの練習となります。
ダイエットや運動不足解消が目的の方ももちろん殴り合いをする必要はありませんので、このミット打ちやサンドバッグ打ちがメインとなります。
ミット打ちを行うメリット
ボクシングのミット打ちは実際に人と対面して動きながら行います。
そのため止まった的を狙うサンドバッグと比べてもより実践的と言えるでしょう。
小さい的をしっかり狙って的確にパンチを打つ技術、トレーナーの動きに合わせて動くリズム感やステップワーク、いつでも指示に反応できるようにする集中力などなどボクシングに必要な様々な要素を鍛えることができるのです。
「別にボクシングが強くなりたいわけじゃない~」という方にもオススメで、なにより楽しいんです!
「楽しいかどうかは人によるじゃん」と言われたら確かにそうなんですが、実際に当ジムで初めてボクシングをされた方は口をそろえて「ミット打ちが一番楽しい!」と言ってくれます!
理由を聞いてみると「シャドーボクシングやサンドバッグは自分で黙々とする感じだけど、ミット打ちはトレーナーさんが指示してくれるし『ナイスパンチ!』って感じで気持ちを盛り上げながらやってくれるから楽しい!」といった答えが。
いや~トレーナー冥利につきますねえ~。
とと、話がそれてしまいましたが、ミット打ちはボクシングが強くなりたい人にダイエット目的の人にもオススメのボクシングメニューということなのです。
次の項でミット打ち上達のためのポイントについて解説しますが、ダイエット目的の方もミット打ちが上達することで運動効果が上がり痩せやすくなりますのでぜひご覧いただければと思います。
意識するべきポイント
これらをふまえていざミット打ちを始めると、あれ?意外に難しいな?となると思います。
パンチを打つ相手(的)が動いているというだけで難易度は上がります。
動画を撮影してみるとなんだかイメージよりカッコ悪い…。
先輩のあの人は機敏に動いてかっこいいのに…。
でも最初は誰でもそんな感じです!
そこから上達していくために意識するポイントを紹介していきます。
拳(ナックル)を的確にミットの真ん中に当てる
ミット打ちで最も多い悩みは「パンチしてもいい音が鳴らない」ことではないでしょうか。
サンドッグなどではバンバンいい音を響かせられるのに、ミット打ちだとバスッと微妙な打撃音…。
逆に自分と比べて明らかに身体が小さくパンチ力もなさそうなのに、パアンパアンといい音を響かせている人もいますよね。
この違いは『拳をミットの真ん中に当てることができているかどうか』です。
ミットには真ん中に『シン』があります。
野球でもバットの『シン』で打つことでボールはよく飛びますよね。
ボクシングも同じで、いくらパワーがあってもミットにクリーンヒットしなければいい音は鳴りません。
逆に力の弱い女性のパンチでも、まっすぐ的確にミットの真ん中に当てることができればパアンと乾いた良い音が響きます。
やはり「強いパンチを打とう」という気持ちが強いと力任せで大振りになってしまい、命中率も下がってしまいます。
また、力が入りすぎてスピードの遅いパンチにもなってしまいがちです。
相手がスキだらけで「ここだ!」という場面でも、パンチスピードが遅いうえに狙ったところにパンチが打てなければ上手くヒットさせることは出来ません。
しかもスピードが遅い大振りのパンチは相手からすればバレバレで、カウンターパンチを合わせられやすくなります。
そのためボクシングのミット打ちのときは『拳を的確にミットの真ん中に当てる』ことを意識しましょう。
弱いパンチになっても問題ないので、とにかくリラックスして的をしっかり狙ってやってみましょう。
すると「全然力を入れていないのにこんなにいい音が鳴るの?」とビックリするはずです。
それを繰り返していくことで速く的確で強いパンチを手にいれることが出来ます。
ちなみに『拳を当てる』というのをもう少し詳しく解説すると、人差し指と中指の拳(こぶし)をミットに当てるように意識しましょう。
薬指や小指あたりに当たってしまうと、骨も小さいのでケガしてしまいやすくなります。
距離感を意識する
ボクシングを始めたばかりの方は理想と比べると相手との距離が近いです。
近距離で倒すか倒されるかの壮絶な打ち合いをするような距離感がデフォルトになってしまっているのです。
フック系のパンチならリーチが短いぶん距離が近くてもオーケーです。
ですが、ジャブやストレートといった真っすぐ系のパンチは肘が伸び切るぐらいのタイミングで的に当たるのが理想なので、距離が近いと肘が伸び切る前に的に当たってしまい攻撃力も出ません。
確かに手を伸ばすと届く距離が正しい気がしますよね。
ですが実際は『手を伸ばしても届かないが踏み込めば当てれるぐらいの距離』が正しい距離感なのです。
そのためミット打ちの際はこの距離感も意識してみましょう。
ミット打ちは相手も動きながらなのでいつの間にか距離が近くなってしまったりもしがちですが、近くなったら離れて常に一定の距離を保つようにしましょう。
そうすることでフットワークや踏み込みも上手くなります。
バランスを意識する
パンチを打った際、そのまま勢いあまってバランスを崩してしまった経験はないでしょうか?
例えば右ストレートを打ってそのまま前に倒れこむようになってしまったり。
こうなるとそこから反撃を受けてしまうでしょう。
そのためパンチを打ったらすばやくガードをして、元の構えに戻ります。
バランスを崩す主な原因は体重のかけ方か、体幹の筋力の弱さです。
先の右ストレートの例だと、前に体重を乗せすぎてしまったためバランスを崩してしまったということです。
体重をかける割合をもう少し後ろ寄りにするか、体幹の筋力を強くすることで防ぐことができます。
ミットの種類
ミット打ちで使われるミットはもちろんボクシングやキックボクシング専用のものですが、用途によっていくつか種類があります。
順番に紹介していきます。
パンチングミット
ボクシングにおいて最も一般的なミットです。
真ん中にしっかり拳を当てることで気持ちのいい音が響き渡ります。
形はゆるい曲線を描いています。
キックミット
パンチに加えてキックも出来るミットです。
パンチングミットと比べるとパンチの感触はあまり良くないかもしれません。
キックボクシングジムではこちらの形のほうが一般的です。
クッション性が高い軽量のものと、ガッシリした造りの本革製のものがあります。
初心者の方や女性の方は柔らかい軽量のものがおすすめです。
逆にキック力のある方は頑丈な本革製のものをおすすめします。
膝蹴りや前蹴りなど幅広いキックに対応できます。
スティックミット
こちらは主に避ける練習に使われます。
トレーナー側から攻撃するようにこのスティックミットを振り回します(当たっても痛くないように柔らかく出来ています)
吉本新喜劇にて乳首ドリルで使われるアレみたいな感じの柔らかさです(分かる人には分かる)
ボクシングにおいて重要なウィービングやダッキングといった技術を身につけることができます。
ミットの持ち方
ここからはボクサー側ではなくミットを持つトレーナー側のポイントをご紹介します。
友達同士でミットを持ちあう際や、ボクシングをやっている子どもの練習につきあう保護者の方なども参考にしていただければと思います。
まず一番大事なのは相手が打ちやすいようにミットを持ってあげることです。
相手の身長に合わせて高さを調整しましょう。
顔面へのパンチは相手の顔面の高さ、ボディへのパンチは相手のボディの高さにミットを合わせます。
さきほどミット打ちを打つ側が意識すべきポイントをご紹介しましたが、これらをやりやすいようにトレーナー側も動いてあげましょう。
例えば『拳を的確にミットの真ん中に当てる』というポイントは、トレーナー側も相手の拳の位置にうまくミットを合わせてあげるのです。
これは相手のパンチをしっかり目で捉える動体視力と反射神経が必要なため一朝一夕でできる技術ではありませんが、できるようになるとミットを打つ側はとても打ちやすくなります。
また、手と腕の力加減も重要です。
力が弱すぎるとパンチを受けたときにミットが飛ばされてしまい打った側も肘などを痛めてしまいます。
かといって逆に強すぎる力でパンチを跳ね返す勢いで受けてしまうと今度は打った側は拳や手首を痛めてしまいます。
この絶妙な力加減もミット打ちを受けるボクシングのトレーナーには求められます。
人それぞれパンチの打ち方のクセなどは異なるので、1人1人に合わせたミット打ちを行ってあげましょう。
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